宮本將廣のExtraColumn008「優勝するチームは…」

宮本將廣のExtraColumn008「優勝するチームは…」

10月2日

いよいよ、Bリーグが開幕する。

この半年は様々な苦しみがあり、いっときはこのままスポーツやエンターテイメントがなくなるのではないかとさえ感じることもあった。

待ちに待った開幕は今までとは「常識」が変わることを、僕らはまず受けれなくてはいけない。

様々なところで言われているが、まずは本当にシーズンを完走できることが第一優先だと感じている。そのためにブースターが守るべきルールや気配りが非常に大切になると思う。

その中で、私はスポーツの力を信じたい。

生活の中で、ストレスを感じることが多くなり、様々な制限が増えた中で、スポーツが僕らの生活や心身に良い影響を与えてくれるはずだ。

ただ、その観戦方法は「リアル」から「配信」に変わっていく。

しかし、スポーツは「リアル」でこそ、その熱量を体感でき、「リアル」だからこそ、大きな価値があるとも言える。

※以前、Podcastにご出演いただいたプラスクラスの平地さんの回を、ぜひ聞いていただきたい。

観客で埋め尽くされたアリーナ、スタジアムだからこその価値

それはBリーグもそうだし、19年ラグビーワールドカップでも、僕らが体感したスポーツの価値だと思う。

しかし、現状は「リアル」には制限があり、人によってはもう「リアル」に対するモチベーションが上がってこない人がいることも事実だと思う。

その中で、スポーツは新しい価値を創り出して行かなくてはいけない。

そして、僕はそれが「映像」だと思っている。

※プラスクラスの平地さん回をぜひとも聞いていただきたい。また、僕らが日本バスケを担当させてもらっている「BASKETBALL DINER」では、現在B3の東京エクセレンスのドキュメンタリーを制作、配信中。

まだまだ「映像」には可能性がある。

そして、ある意味「配信」「映像」である。

今シーズンの鍵はここだと思っている。

話は変わるが、僕は毎シーズン、今年優勝するチーム(ブースターまで含めて)はこんなチーム!という予想を勝手にしている。

例えば、18-19シーズンは

「ブースターが1番バスケを学ぼうとしているクラブ」

を優勝すると予想した。

結果、優勝したのはアルバルク東京だった。

アルバルク東京はルカHCの就任後、明らかにブースターのバスケットボールを見る目が変わり、ブースターがアクションを起こすこと(アリーナ周辺のゴミ拾いやルカフラッグなど)によって、クラブと共にブースターも進化していった。

合わせて観客動員も伸びていき、今シーズンは昨シーズン達成するチャンスすらなくなってしまった3連覇を目指している。

僕はクラブとは、そこに関わる全ての力の結集だと考えている。それは決して数だけの問題ではなく、バスケットボールを中心に一枚岩になれるか…様々なステークホルダーが一緒に進化していけるか…が問われると考えている。

では、今シーズンはどうだろうか。

この時代にスポーツの価値は…バスケットボールを通じて社会にどんなメッセージを伝えられるだろうか。

そんなことを考えた時に、僕は

「配信でも伝わるエネルギーを表現したチーム」

が今シーズンの優勝するチームだと考える。

スポーツには必ずストーリーがある。だからこそ、「リアル」で僕らは息を潜め、その一瞬を見逃すまいとコートに釘付けになる。

ルーズボール、リバウンド、トランジションの走り出し…選手の叫び

それらのアクションの1つ1つのエネルギー量がどれだけ伝わるか。伝えられるか。

逆に言えば、そのエネルギー量をブースターも共有し、より大きなエネルギーに変換できるか。

それは、NBAが証明してくれたことでもあると感じているし、日本のスポーツ、バスケットボールがまだまだ未熟な部分でもあると僕は感じている。

大きなエネルギーは必ず誰かに伝わり、人の心を動かす。見えない力は必ずあると思っている。だからこそ、コートでのオーバーアクションとも取れるパフォーマンスや戦う姿勢が「配信」を通じてどれだけの人に届けることができるか。

そして、「配信」を通じてどれだけのブースターがそこに共鳴することができるか。

これが、今シーズンの優勝チームのポイントになると考えている。

そんな中で、すでに「映像」を活用しているチームもある。もしかしたら、そんなチームはすでに1歩リードしているのかもしれない。

SNSもあるこの時代、「リアル」ではなくても、僕らはバスケットボールで繋がることができる。

選手にはそんな今まで以上のエネルギー、アクションに期待したい。熱いエネルギーには必ずや人は反応し、共鳴するはずだし、共鳴したいと感じるはずだ。

そして、繰り返しになるが、そこが日本のスポーツやバスケットボールにまだ足りない部分でもあると感じている。

スポーツは生きていく上で、絶対に必要な要素ではない。

だからこそ逆にそこに関わる人によって、価値を変化させていくことができるのだと思う。

コロナによる「リアル」から「配信」は間違いなくマイナスな要素もある。しかし、逆から見れば、今まで日本では重要視されてなかった本当に大切な部分が勝負を分けるポイントにもなると思う。

きっと「優勝するチームは…」その重要性を理解している。

スキルや資金力だけではない。だからスポーツは面白い。

そんな日常が、「リアル」に足を運びたくなるようなバスケットボールに期待したい。

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