宮本將廣のExtraColumn004「夢へのトライ」

宮本將廣のExtraColumn004「夢へのトライ」

2019年11月16日六本木

忘れかけていた「青春」のど真ん中
そんな夢のような時間を過ごしていた。

僕はもうすぐ32歳になる。
そんな自分にとって、どこか懐かしく、そして憧れにも近い感覚

プロラグビー選手であり、東福岡高校ラグビー部で3連覇、高校3年間無敗という黄金時代を作っ た2人の
「木村貴大と藤田慶和の夢へのトライ」
通称「夢トラ」
はまさにそんな時間だった。

そのイベントのサポートをExtraPassが行わせてもらった。 しかし、サポートどころかこちらが学び得たことの方がたくさんある。
今回は少し、僕が感じた「夢トラ」を振り返りたい。

親友から繋がった木村貴大の新しい挑戦

2019年9月17日
僕は成田空港にいた。

プロバスケットボール選手山本柊輔(現アルバルク東京)
彼の海外挑戦を追いかけていたこの夏。
その日は山本柊輔の渡米の日だった。(10月29日山本柊 輔はアジアチャンピオンのアルバルク東京に緊急加入し、帰国することになる。)

山本柊輔渡米の数日前にニュージーランドのハミルトン・マリストでプレーをするプロラグビー選手であり、山本柊輔の筑波大学時代からの親友である木村貴大を紹介してもらった。

山本柊輔が乗った飛行機が飛び立つのを見送り、その直後に僕は快晴の成田空港のスカイデッキ でニュージーランドにいる木村貴大と初めて会話を交わした。

その時の印象を今もはっきり覚えている。
「初めてな気がしない(笑)」
木村貴大は人の懐に飛び込んでくるのが本当にうまい。愛くるしい笑顔とハキハキした口調で、気 づいた時には彼の話をワクワクしながら聞いている自分がいた。

6月1日東京、6月12日札幌。
山本柊輔から学ぶバスケットボール「やまもんトーーク」を山本柊輔と行った。
これはプロ選手が自身の半生を語り、そして自身のプレーを自身で解説するという今までにはな かった挑戦的イベントであった。

大盛況で終わったそのイベントを木村貴大は知ってくれていて、自身も帰国のタイミングで海外での経験を伝えたい。と山本柊輔を経由して僕のところに話が舞い込んできた。

山本柊輔はどんな時も「挑戦」を選ぶ男だ。
そして、木村貴大からも同じ匂いがした。この2人が親友であることはもはや運命なのだろう。

僕の好きな言葉に森信三のこんな言葉がある。
「人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時 に。」

僕にとって山本柊輔との出会いも、そこから繋がった木村貴大との出会いも… そしてそこからさらに広がる出会いも…
何より山本柊輔と木村貴大という2人も「逢うべき人」だったのだと思う。

「挑戦」を選び、海を渡った山本柊輔をきっかけに、木村貴大の「新しい挑戦」をサポートさせ てもらうことになったあの日のワクワク感を今も昨日のように覚えている。

素直さとストイックさを合わせ持つ藤田慶和

木村貴大と何度か電話を繋ぎ、ニュージランドと日本で話をした。 サポートといっても、基本的に僕が考えることは彼らが伝えたいこと、考えていること その「想い」をどう形にするかである。
個人的には「想い」がしっかりと形になれば、その「想い」に多くの共鳴が生まれ、素晴らしいものが形作られると考えている。

その中で、木村貴大から 「一緒にイベントをやりたい奴がいる」と、1人の同級生の名前が上がった。
それがパナソニックワイルドナイツに所属し、現在東京オリンピック7人制ラグビー日本代表候補でもある藤田慶和だった。

藤田慶和のことはラグビーに詳しくない僕も以前から知っていた。

藤田慶和と初めて電話をした時に、素直さとストイックさを合わせ持つ。
そんな印象を感じた。

30分ほどの電話だっただろうか。

その電話だけでも、彼がトップアスリートであると同時に素晴らしい人間であると感じるには十分な時間だった。

そして何より、初めて話すこちらの話にもしっかりと耳を傾けてくれる素直さ。 限られた時間でも参加してくれる人たちにとって、より良いものを作るために、忙しい中でもできることをしっかりとやりきろうとするそのストイックさ、視野の広さと思考の深さには脱帽した。

藤田慶和と話して、また僕の中でまた少し考えが変わった。
「きっと彼らならおもしろいものを作りあげるだろう」
正直、そこからはサポートとは名ばかりの時間を過ごした。 それは彼らが作る、彼らのイベントを僕自身も見てみたい思った。
そして間違いなく、彼らが作り上げることで参加してくれる方にとってもその「想い」が伝わるイ ベントができると感じたからだった。

「ALL FOR ONE ONE FOR ALL」

少し古いのかもしれないが、ラグビーをイメージすると「にわか」な僕はこの言葉をイメージす る。

「ALL FOR ONE ONE FOR ALL(1人はみんなのために、みんなは1人のために)」

木村貴大と藤田慶和の呼びかけで、実行委員というサポートチームが立ち上がった。 そのメンバーはほぼ全員が東福岡のメンバーである。

初めて彼らと会ったのは10月22日
そこには今回、見事司会進行の大役をこなした藤山英士と、裏方の中心を担い、朝も夜も関係なく尽力してくれた「夢トラ」大成功の影の立役者である佐藤宏樹もいた。

個人的にはこの時、少し出しゃばりすぎた反省もあったが、彼らのイメージを引き出し、色んなアイディアを投げ合い、行き着いた答えが「夢へのトライ」だった。

この時に感じたことは、先ほど紹介した藤山英士や佐藤宏樹といった東福岡の仲間達との絆であり、ラグビーという競技の魅力だった。

開催前に何度も行われたミーティングから当日まで、関わった仲間たちから、この「夢トラ」が他人事やちょっとした手伝いという感覚は全く感じなかった。

それぞれが自分事としてより良いイベントを作るために…
登壇する木村貴大と藤田慶和をより輝かせるために…
そして、当日参加してくれるお客様が喜んでくれるイベントにするために…
そんな想いを全員が持ち合わせて行動をし、意見をぶつけていた。

特に司会進行をした藤山英士と佐藤宏樹の2人とは、僕自身も様々な意見交換をした。
その中で感じたのが、サポートをする仲間たちにとって、木村貴大と藤田慶和は「誇り」であり、 彼ら自身も2人の大ファンであるということ。
僕にはそんな彼らの素晴らしい関係性と人間性がひしひしと伝わってきた。
もちろん当日の登壇した3人のトークや掛け合いは最高だった。
その中で、間違いなく今回のイベントの成功の陰には、そんな裏方で2人を支える仲間の存在があったことをぜひとも忘れないで欲しい。

準備から当日まで妥協することのない姿勢、積極的な意見交換、そして自分の役割を全うする責任感。
東福岡ラグビー部の黄金期を作り上げた彼らは、それを作るべきして作ってきたメンバーであるこ とを僕はこの2ヶ月間で強く感じた。

達成感は次の挑戦へのスタート

当日のイベントは様々な想定外、トラブルもあったが、それを乗り越えるチーム力と個人の判断力 が随所で光った。

イベントについては木村貴大と藤田慶和のSNSやブログをぜひともチェックしてもらいたい。

本当に素晴らしいイベントであり、ご参加頂いた参加者の皆様が2人に向ける真剣な眼差しや笑 顔、暖かい拍手によって、より素晴らしい空間が作られたことを、この場を借りて改めて感謝申 し上げたい。

終了後、ご参加頂いた皆さんの笑顔、そして実行委員のみんなの晴れやかな表情からもこのイベ ントは大成功だと感じられた。

僕自身もこんなに充実感を感じられるとは想像もしていなかった。
正直何かをしたわけではない。 ただ、彼らの「夢トラ」に向き合う姿勢、感じられる信頼関係、そして何より準備からイベント までに様々な場所で成長を感じられる彼らの人間力。

僕にとってそれはまさに「青春」そのものであり、何よりも僕自身が彼らのファンになってい た。
全員がそれぞれの役割を全うし、そして、繋がった想い。
その想いを木村貴大はしっかりと受け取り、パスを供給する、それを藤田慶和が鮮やかにトライをする。全員で喜びを爆発させる。 そんな景色が広がっていた。

しかし、そんな喜び、感じる達成感を共有しながらも、ここで立ち止まる人はいないのがまた彼らの魅力である。

ここからがまた彼らの挑戦のスタート。

木村貴大と藤田慶和は2023年フランスW杯に向けて…
そして共にイベントを作りあげた仲間達もそれぞれの場所で、2人に負けないように新しい挑戦を スタートさせていく。

昨日よりも今日が、今日よりも明日が…
少しでも思い描く夢に近づけるように。
それぞれ違う場所にいたとしても、お互いを刺激しあい、そして自分自身に負けないように。

彼らと共に時間を過ごし、僕はまたこの言葉を思い出した。
「人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時 に。」

彼らもまた、逢うべくして出逢い、東福岡でラグビーを通じて出会ったからこそ、最高の友情を築 き、そして人生に大切な「挑戦するマインド」をそれぞれが身につけたのだろう。

そして、何より順風満帆に見える彼らの人生も、間違いなく挫折や葛藤…様々な想いの交差や、様々な人のサポートがあり…挑戦を続けてきて今日という日があることを、参加していただいた皆様には届いたのではないだろうか。

彼らだからこそ、できることがあるのだ。
そして、きっと小さなことでも構わない。僕らにも挑戦することでできることがきっとある。
そんなことを木村貴大と藤田慶和、彼らを支えた仲間たちは教えてくれた。

そんなそれぞれの「夢へのトライ」をこれからも僕は応援していきたい。

きっとまたどこかでこのメンバーが力を合わせて、多くの人に感動を与えるときを心待ちにしなが ら…

PS
イベント終了後、たまたま帰りの電車が同じサポートメンバーがこぼした言葉を僕はずっと忘れな い。
「木村も藤田も俺たちの誇りなんですよ。あいつらがいるから、俺らも負けてられないなって思え るんです。」
このコラムを書くことを、僕はそのときに決めた。
いつかどこかで、今回の夢トラメンバーや夢トラに参加してくれた皆さんが高い壁にぶち当たった 時、これを読み返して、このイベントを思い出し、頑張ろう!そう思ってくれたら嬉しい。

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