この日、関東近郊で行われるB1B2の試合がこの一戦のみだったため、注目のカードとなったB2東地区、越谷アルファーズvs群馬クレインサンダーズの一戦。
群馬クレインサンダーズにとって、ポジティブな要素は、外国籍選手特別追加ルールでチームに加入していたゲイリー・ハミルトンと契約解除し、ジャスティン・キーナンがベンチ入り。
さらには前節ベンチ入りしていなかったトレイ・ジョーンズがスタメンで出場と、今シーズン当初に構想したフルメンバーで試合に臨むことになった。
一方、越谷アルファーズは、前節と同じベンジャミン・ローソン、アイザック・バッツ、チャールズ・ヒンクルと外国籍3名で挑む。
開幕節、同じく東地区の競合と目されている茨城ロボッツに連勝した群馬としては、今節も連勝して最高のスタートダッシュを決めたいところ。
越谷は開幕節アースフレンズ東京Z相手に1勝1敗と痛み分けとなってしまったのが、強力な補強を敢行した今シーズン、黒星先行でシーズンをスタートするわけにいかない。
両者にとって、シーズン序盤に弾みをつけるために重要な一戦となった。
トレイ・ジョーンズが躍動する群馬クレインサンダーズのオフェンス
群馬は、序盤からジョーンズがハンドラーを担う。
ジョーンズがブライアン・クウェリとのピックプレーから、次々にパスを捌いて展開していく。
本来、ハンドラーとしての力も求められるであろう山崎稜と小淵雅も、ジョーンズがハンドリングすることで、彼らの持っているショットの上手さが活きていた。
今シーズン、多くのチームが、このジョーンズをディフェンスすることに苦労するだろう。
この日、越谷はチャールズ・ヒンクルをスタメンに置き、対策をしていたが序盤から想像以上の手こずっていた。
3Q越谷は、ゾーンディフェンスで効果的に使うことで、ジョーンズを無力化していた時間帯も多くあったが、全てがうまく行ったわけではなかった。
越谷アルファーズの試合巧者なポイントガード陣
スタッツでは目立つことはなかったかもしれないが、重要な役割をこなしたのが、越谷新加入の畠山俊樹と二ノ宮康平、2人のポイントガードだ。
トリッキーで早い展開にも持ち込みたいであろう群馬のオフェンスに付き合うことなく、ゲームを組み立てていった。
ハイスコアになるかと思われた1Qから一転、2Qはゲームをうまくコントロールさせ、越谷のストロングポイントであるバッツ起点のハーフコートバスケを丁寧に行う。
特に畠山は、2Q終盤なかなかリズムに乗れずに得点差が開きそうな場面で、長谷川智也や落合知也に的確にアシストを供給して、チームの勢いを取り戻し、大きなビハインドを作ることなく前半を終える。
経験も豊富で、時には攻撃的にもなれる2人がバックコートでしっかりコントロールできることで、今シーズン越谷が大きく崩れることは少なくなるだろう。
3Qで一気に試合をひっくり返したのも、ひとえに畠山の活躍と言っても言い過ぎではない。
試合は、越谷85-70群馬でホーム開催戦を越谷アルファーズが勝利をおさめた。
落合知也の意地
試合後の記者会見の場で、落合は
「ぶっちゃけ、この記者会見に行くイメージまでしていました。」と意気揚々と話し、会見の場を沸かせた。
前節vsアースフレンズ東京Z戦では、Game1プレータイム3分43秒、Game2は出場機会がなかった落合は、この日スタメンでチーム3番目にプレータイムが長い26分38秒の出場となった。
数日前からマイケル・パーカー対策として、スタメン出場をHCから告げられていた落合は、
「絶対にやってやる。見てろよ。」と自身で言葉にしたように、その期待に充分に応えた。
執拗に激しいディフェンスで体を張ることでパーカーを封じ、フラストレーションを貯めさせパーカー本来のプレーをさせなかった。
試合を観ている印象として、勝負所でパーカーが全く目立たなかったので、落合に軍配が上がったと言っていいだろう。
今シーズンは3×3のシーズンがズレ込み、前週はBリーグ2連戦の翌日に3×3の試合に出場もしている。今週も同じスケジュールになるとのことだ。
チームの中でもベテランになってきた33歳は「このハードなことに挑戦できるのは、日本で自分しかいない。」と意気込み、Bリーグと3×3の架け橋になることを強く語った。
試合後の記者会見
平岡富士貴HC
「明日頑張らせます。こうすれば勝てるチャンスがあるということを(越谷に)やられていた。気持ち的に準備できていなかったのか、ホワイトボードのことが半分も遂行できてなかった。自分たちのいいところを越谷さんは消してゾーンにしてきたりとか…プレーをまだ覚えていない選手もいましたし、明日頑張ります。」
高原純平HC
「群馬さんの開幕戦を見てマイケルパーカー選手のところがキーだと思ったので、そこを落合にやらせて、チャールズのシュート力を活かしていくと準備していたんですけど、出だしちょっと苦しかった。今日一番よかったのが、ゾーンディフェンスに群馬が苦しんでいたところ。ホーム開幕を落とすわけにはいかないので、自分たちのバスケットをしっかり見せることができたと思います。前半終了時、自分の中では最悪10点ビハインドまでは想定したが、そこまででなく、そこから3Qしっかり出来たところが、今日勝てたポイントでした。」