Bリーグ2020-21シーズン開幕戦となった1節GAME1は、73-61で宇都宮ブレックスが琉球ゴールデンキングスに勝利した。
宇都宮は、試合開始直後こそリズムに乗れなかったものの、1Q中盤にディフェンスからリズムを掴み、リードを許さない展開で琉球ゴールデンキングスを圧倒した。
特に宇都宮の激しいディフェンスは圧巻で、琉球は終始苦しめられる。
オフェンスプランは思うように遂行できず、ショットパーセンテージは上がらないまま、最後まで得点は伸びなかった。
バックコートからのプレスに加え、フロントコートに入ってきた琉球のガード陣を面白いようにトラップに引っ掛けれていた宇都宮のディフェンスは今シーズンの特徴でもある。
宇都宮に限った話ではなく、今シーズンは多くのチームで40分間フルコートでの激しいディフェンスをやり抜く姿勢が見て取れる。
このようなディフェンスに対して、どう攻略していくかが多くのチームにとって課題になるシーズンになるだろう。
果たして、一夜あけたGAME2…
琉球はこの宇都宮をどう攻略するだろうか?
アジャストしてきた琉球ゴールデンキングスのオフェンス
この日、琉球のバックコート陣は、早めにフロントコートの選手にボールを預けるようにしていた。
その結果、前日のように不用意なターンオーバーを連発することはなかった。
ハーフコートオフェンスもジャック・クーリーを起点に据えた結果、リズムよくショットすることが出来、序盤からリバウンドも支配した。
ジェイソン・ウォッシュバーンがクーリーのインテンシティーに呼応するように絡んでいき、いいリズムのままスタートをきる。
ジョシュ・スコットに仕事をさせず、早めの選手交代でベンチからジェフ・ギブスを引っ張り出す。
むしろ、ディフェンスに関して言えば、前半から琉球の策がうまくハマっていた。
前日、宇都宮にやられたトラップを要所要所で、そのままやり返した形になった。
シーソーゲームのまま、前半を終える。
スキルを超えた気合のぶつかり合い
こんなことを書くと、近代スポーツを根底から否定するかもしれないが、勝敗の分けるのは気合の違いなのかもしれない。
宇都宮9点リードで始まった後半スタート、琉球にすればいち早く追いつきたいところ、逆に宇都宮は引き離すのであれば、このタイミングが絶好。
後半の入り、明らかに両者のインテンシティーが高かった。
リバウンド、ルーズボール、フィジカルコンタクト…
一歩間違えば、試合が荒れてしまうようなギリギリのぶつかり合いの中、試合は展開していく。
宇都宮が流れをもっていくかと思われたが、琉球も食いついていく。
東地区の優勝候補、西地区の優勝候補、両者の意地がゲームを簡単に決めさせない。
流れが目まぐるしく交代する展開のまま、4Qに突入していく。
ブレックスアリーナはブレックスアリーナ
4Q残り8分24秒、この日一番のビッグプレーが飛び出す。
渡邉裕規のスリーポイントショットのバスケットカウント…4点プレーだ。
3Qで差を詰められモヤモヤする展開から、さらに4Qで3点差にまで差を詰められた宇都宮にとって悪い流れの中で、一気に7点差に開いた。
会場の空気も変わり、ファンのギアも1段上がった。
声は出せなくても後押しする気持ちが乗った手拍子が会場全体に響き渡る。
さらに、渡邉は連続でスリーポイントショットを沈める。
会場が決めさせた値千金のショットと言っても言い過ぎではないだろう。
チームを引っ張るライアン・ロシター
「全員バスケ」を銘打っていると明確なリーダーというものが薄れてくる。
安斎HCも、そのような危惧があると語っていた。
特に宇都宮の場合、キャプテンとして絶対的な存在の田臥勇太は現状コートに立てない。
そんな中、4Qの勝敗を決する時間帯にライアン・ロシターがチームを鼓舞する。
今シーズン、スコットの加入でロシターの役割は大きく変わってくると推測していた。
ゴール下の汚れ仕事はスコットに任せて、ロシター自身はスマートにプレーすることもできただろう。
しかし、4Qのロシターの泥臭さは心を打つものがあった。
ゴール下のフィジカルコンタクト、リバウンドからのボールプッシュ…
ここが勝負所だと言わんばかりのプレーを体現し、チームを引っ張る。
そんな雰囲気の中、4Q残り2:07、試合を決定付けるこの日4本目の渡邉のスリーポイントが炸裂する。
試合は、そのまま宇都宮79-68琉球で終了。
琉球も手が届き、追い越すチャンスがあった試合でもあったが、宇都宮が最後まで好きにさせない横綱相撲で勝利をおさめた。
試合後の会見で、琉球の藤田HCは「何度も崩れそうな展開の中、自分たちでインテンシティを上げて持ち直すことできたのが収穫。」と語った。
GAME1は、「開幕戦・アウェー・相手が宇都宮ブレックス」という状況に多くの戸惑いが選手にもあったようだが、GAME2は敗戦ながら地に足がついたプレーができ、今シーズンのチームの成長に向けた収穫を多く語った。
一方、宇都宮の安斎HCは、ホーム開幕2連勝の結果を受けても「軽いプレーは優勝するチームにあってはならない。」「勝つために情を抜きでチームを作っていく。」と語り、勝って兜の尾を締めた。