アースフレンズ東京Z U15のラストダンス ~「これまで」と「これから」と~

アースフレンズ東京Z U15のラストダンス ~「これまで」と「これから」と~

15歳の頃

僕らはどんな景色を見て、どんな未来を思い描いていただろうか。

胸の奥底に確かな憧れを抱きながら、けれど、それを表現する術を知らなかったり…

妙にリアルになって、大人ぶって、大人になったつもりで背伸びをして…

けれど、ただ夢中に追いかけたい「何か」がそこにはあった。

その時間は永遠よりも長いような…

けれど、確かに過ぎていく昨日と迫り来る明日のスピードは想像以上で、何気ない日常がこんなにも愛おしいことを知ったのも15歳の春だった。

そんな彼らの15歳を新型コロナウイルスの猛威が襲った。

それは彼らからも日常を奪い、バスケットボールを奪った。

きっと、たくさんの経験ができるはずだった。

そんなことを大人の僕らが思う中でも、限られた環境で、彼らは共に時間を過ごす仲間たちと、バスケットボールを心の底から楽しんでいた。

そんなところから、このストーリーは「はじまり」を告げた。

伝えていくこと、繋げていくこと

この取材は、ある何気ないやりとりから始まった。

アースフレンズ東京Zのトップチームを2月に取材をさせてもらい、それをドキュメンタリー動画で配信するという新しい試みを、クラブの協力のもと「BASKETBALL DINER」で行わせてもらった。

アースフレンズ東京Z 「RE START」

私が元々、育成年代の指導者をしていたこともあり、親交のあるアースフレンズ東京Z U15の岩井貞憲HCに、「ユースももし良ければ…」と伝えた。

単純にユースの魅力を知ってもらいたい。特にアースフレンズ東京ZのU15は素晴らしい育成指導と断言できる。何より、バスケットボールを奪われた多くの子供達に何か少しでもバスケットボールを通じて、今この瞬間、そしてこれからの力になれることがしたかった。

3月初めに企画がきまり、翌週から約2週間の密着取材をスタートさせてもらった。

僕らに与えられた命、その使命とは

密着取材がスタートした日は、偶然にも「3.11」だった。

2011年当時、ユースの彼らは4歳。その大災害の記憶は曖昧であったり、成長する過程の中で、メディアで知ったことや理解したことの方が多いと思う。

そんな彼らを集め、当時の動画を見せた岩井貞憲HCは、震災の時の話を語り始めた。

その映像を、岩井貞憲HCの言葉を真剣に自身の中に止める彼らの姿が印象的だった。

岩井貞憲HCは、

「僕らに与えられた使命とはなんだろうか?」

そう彼らに問いかけた。

あまりにも壮大で、今の彼らにとってリアルではないその言葉も、いつか必ず、その意味を自分なりに理解し、表現してくれるのだろう。

彼らの姿から、なぜかそんな確信に似た感情を持った。

震災という繰り返したくない歴史も、プロクラブ、ユースというスポーツクラブも、その歴史を知って、未来に繋げていくこと、伝えていくことはとても大切なことに変わりはない。

そして、何より、今この1秒1秒を僕らはもっと大切に生きていかなくてはいけない。

「過去を知って、未来に向けて僕たちは何ができるのか。」

岩井貞憲HCのその言葉には、彼らに向けた何よりも大切なメッセージが詰まっていた。

僕らは歴史を創りあげる主人公

最初の練習の撮影で、思い描いていたストーリーの全てが繋がった。

岩井貞憲HCの言葉は今、15歳を生きる彼らに向けてられた言葉ではあるが、間違いなく「あの日の自分」にそして、「今の自分」の心に響いた。

もしかしたら、それは岩井貞憲HC自身が「あの日の自分」に、そして「今の自分」に向けたメッセージなのかもしれない。

今を生きているすべての大人が、きっとそれぞれの時代で、それぞれの15歳を生きてきた。しかし、こんなにも人との関わり、それはいいことも悪いことも含めて、

誰かを笑顔にしたり、誰かを傷つけてしまったり、誰かと一緒に涙を流したり…

そんな時間が奪われてしまった15歳はいなかったと思う。

それでも、時代が変わり、コミュニケーションの形が変わり、生活のスタイルまでもが変わってしまっても、変わらぬ共通の何かが間違いなく15歳にはある。

その1つが、僕らにとって、そして彼らにとって、バスケットボールであったこと。バスケットボールに費やしたその時間を、リアルやオンラインで仲間と共に過ごしたその時間を、これからのそれぞれの人生の力にしてもらいたい。

様々な制限、我慢、悔しさが交差するこの時代に失ったもの、得られなかったものは間違いなく大きい。けれど、そんな15歳を生きた彼らはきっと間違いなく強いと思う。

だからこそ、「これまで」の人生を「これから」の未来の力に変えてくれますように。

そんな願いを込めて、その一瞬一瞬をカメラに収めた。

正直、力不足で、すべての瞬間をきれいに映すことはできなかったが、それは彼らをカメラ越しに見続ける中で、その不完全さの魅力、そして成長を信じ、弛まない努力をする姿に、自分自身もまだまだ伸び代があるのだと気付かせてもらえる時間だった。

何より、そうやって、歴史は創られていく。

クラブの歴史も、創り上げた人、繋いできた人、受け継いできた人がいる。

そして、アースフレンズ東京Z U15の彼らは、岩井貞憲HCと共にその歴史を創り上げた人として、これからのチームにも大きな影響を与えていくはず。

そんな彼らの成長の魅力と、一瞬にかける覚悟をぜひ、見ていただければと思うし、そんな彼らはこのストーリー、歴史を創りあげる主人公だ。

3月28日からB.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIPが始まる。

アースフレンズ東京Zの選手だけでなく、この大会に参加するすべての15歳の今を生きる姿、バスケットボールへの愛情が東京体育館に集結する。

ぜひ、バスケットLIVEでそんな彼らの勇姿に応援をお願いいたします。

そして、密着取材の

「アースフレンズ東京Z U15のラストダンス ~「これまで」と「これから」~

もぜひ、大会前にご覧いただければ嬉しいです。

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