どんな人生にもうまくいかないことは山ほどある。
うまくいかない時は色んな感情が交差するものだ。
逆にうまくいっている時は、何をしてもうまくいくような気さえしてしまう時もある。
B2の第8節
アースフレンズ東京Zはホームの大田区総合体育館に山形ワイヴァンズを迎えた。
結果は2連敗。正直言って、お世辞にも内容も良かったとは言えない2試合だった。
あの時…
どうしてあそこで…
あのシュートが…
外から見ていれば、そんなことを言うのは簡単だし、言いたくなる。
しかし、コートレベルでは、その1つのボタンのかけ違いが迷路の入り口へと導く。
シンプルに見えることが複雑であったり、逆に複雑に考えすぎているだけで、実はシンプルであったり…
それがチームスポーツの面白さでもあり、難しさでもある。
かく言う私も、game1を現地で取材し、ワンプレー、ワンプレーに頭を掻きむしり、天を仰いだ1人だ。
この迷路の出口はどこにあるのだろうか。それでも進んで行かなくてはいけないのもまた、スポーツというものなのだと思う。
蒲田を愛し15年
今節が行われた11/21は任天堂の日。そして、11/22はいい夫婦の日だった。
その日を狙っていたように(詳しいことはわからないが…)ゲームパートナーを務められたのが、地元の蒲田愛し続け、15年ものあいだ蒲田で営業をされている
「トップボーイ蒲田店」さんだった。
私自身も日頃からお世話になっており、試合前に伺わせてもらった。
東京Zのスポンサーもされており、地元はもちろん、それ以外からもゲームやトレーディングカードを求めて多くの方が足を運ぶ大人気のショップだ。
お家で過ごす時間が増えた方も多いと思う。ぜひ、ゲームの購入を考える時は、足を運んでいただきたいショップの1つだ。
また、店内は東京Zのオフィシャルショップとして、グッズも販売している。ゲームデーには対戦相手のグッズが飾られる。ホーム、アウェイ、なんなら全く違うチームのファン・ブースターも1度は足を運んで欲しい。
そんなトップボーイ蒲田店さんがゲームパートナーを務めること、任天堂の日に合わせてか、当日の会場の音楽も大人気のゲームのお馴染みの音楽が演出に使われていた。
そんなMC UmeさんやDJ Toshikiさん、オルガンのマーシャさんやチアのZgirls含めた様々な演出は東京Zの魅力であり、1度は体感して欲しい非日常的な空間でもある。(ちなみに今節からZgirlsのプログラムが変更され、そちらも非常にかっこいいプログラムだった。)
バスケットボールは積み重ねのスポーツ
肝心な試合の話を進めていこう。
この試合に関しては、私はバスケットボールの当たり前の部分の話になると感じた。
バスケットボールは積み重ねのスポーツ
それに尽きる。
バスケットボールはその攻防の多さと激しさが魅力のスポーツだ。他のスポーツに比べれば、多くの得点が入り、盛り上がるシーンもたくさんある。
その中で、ファン・ブースターも楽しむ観点が色々あることもバスケットボールの魅力だ。
戦術、戦略が好きな人もいれば、選手個人の活躍を中心に見る方もいるだろう。
オフェンスが好きな人もいれば、ディフェンスのナイスプレーに心が躍る人もいるだろう。
しかし、それらも全てが最後の結果に繋がるのがバスケットボールだ。
どれだけいい戦術で、いいショットを決めたとしても、その後のディフェンスで簡単に得点を許せば、勝利を掴むのは難しくなる。
Game1で東京Zの東頭HCは
「前半31失点という数字ではあったが、決してディフェンスがいいわけではなかった。」
と会見で語った。
一方、山形ワイヴァンズのライコビッチHCは
「東京Zは素晴らしいチームだ。勝利するためにポゼッションのコントロールを意識した」
と会見で語った。
そんなHC同士のゲームプランの攻防も見応えの1つでもある。
試合を見ていても、試合が進むごとにベンチも含めて盛り上がりを見せていく山形。一方、どこか試合が進むごとに硬くなっていくような印象を感じる東京Z。
もしかしたら、試合はコートで行われていたバスケットボールの内容以上にそんなメンタル的なところで勝負を決したのかもしれない。
スポーツの醍醐味とは…
Game2含めて、試合を見ていく中で、私はスポーツの醍醐味とはなんだろうか。そんなことを考えてしまった。
昨シーズン、たまたま、人気書籍「ダブドリvol.9」のZgirlsの取材に同行させてもらい、東京Zが14連敗を抜けた2月の試合を観戦した。
あの瞬間、思わず私も声を出して、叫んでしまった。
そう、東京Zの輪島射矢が涙を流したあの試合だ。
その後、オフシーズンに輪島射矢がエクストラパスのポッドキャストに出演していただいた時に
「こんなにみんな頑張っているのに、どうして勝てないんだろう。そんな気持ちだった。」
と話していたのが、印象的だった。
あの時、選手やチームスタッフ、会場に駆けつけたファン・ブースターも笑顔がはじけ、会場に駆けつけたファン・ブースターには涙を流すものまでいた。
あの会場にいれば、その時までバスケットボールにさほど興味がなくても、きっとそれからはバスケットボールの虜になってしまう。
そんな試合だった。
Game1の後、東頭HCも「明日はなんとかして勝利を…」とファン・ブースターに向けて言葉にして伝えた。
もちろん、バスケットボールは結果を保証できるものではない。
それを理解した上で、東頭HCも覚悟を持って、自身が先頭に立ち、game2に向けて戦う気持ちを表現したのだと思う。
それでも、game2の結果は求めたものではなかった。
話は戻る。
スポーツの醍醐味はなんなのだろうか…
もちろんそれは人によって違うものだ。それでも、私が思い描いた景色は先ほども書いた昨シーズン14連敗を抜けたあのゲームだった。
あの瞬間、会場が1つになったと感じた。
あの瞬間、スポーツは最高に楽しかった。
そう…「楽しい」そんな感情こそ、私にとってスポーツの醍醐味であり、共通言語なのだと感じた。
必死に戦う姿も、泥臭いプレーも、高度な戦術も…
全てがスポーツの大切な要素であることは間違いない。
けれど、あの日、このアリーナに確かにあったのは、どこかワクワクするような…楽しいという感情だった。
極論言ってしまえば、どっちが勝利しても、「楽しかった」と言えるような…(対戦相手は越谷アルファーズ)
もちろん、コロナ渦の現在、声を出したり、立ち上がったり、周りとハイタッチするような行為はできない。
けれど、だからこそ、スポーツは楽しい!
笑顔でプレーやそんな感情を僕はこのアリーナで見つけたい。そう感じた。
バスケットボールは積み重ねのスポーツだと先ほど書いた。
そう、積み重ねてきた歴史のどこかに、きっと今必要な、大切な何かが隠されているのだと思う。
開けるはずがない…そんなことを感じても、必ずどこかに僅かな光はもれている。だから、そう遠くない気もしている。
余談だが、東京Zの東頭HCの会見でのよくいう口癖は
「選手を乗せてあげたかった。」
など、選手への愛情溢れる言葉達だ。
様々な要素を見ても、勝利を掴むに値するプレーはある程度できている。だから本当に何か1つ、たったワンピースだと思う。
そう考えると、綺麗事に聞こえるかもしれないが、今、勝利を掴むために大切なことは、これまで辿ってきた道のどこかにちゃんとあるのかもしれない。
私はそんなことを感じて、あの日の自分の声に耳を傾けている。