11月12日、大森スポーツセンターでB2の第7節アースフレンズ東京Zvs茨城ロボッツのgame1が行われた。
会場となった大森スポーツセンターは決して大きな会場ではないが、平日ゲームでチケットは完売。改めてアースフレンズ東京Zというチームが大田区をはじめとするホームタウンの城南地区に根付いていると感じた。
コロナ渦でのリーグ開催でありながら、アースフレンズ東京Zの会場はスタッフやボランティアの方々がいつも暖かく優しい雰囲気で出迎えてくれる。
コートに足を踏み入れれば、ついリズムを刻みたくなるような非日常的、だけれどもこちらも暖かさのある空間をMC UmeさんとDJ Toshikiさんが作り出す。
タイムアウトやハーフタイムでは、Zgirlsが美しく、そしてダイナミックで華やかに会場を盛り上げてくれる。
今シーズンのアースフレンズ東京Zのスローガンは
「GO FORWARD ~この町と共に~」
そう、この町にはバスケットボールがある。
苦しい時間が続く中にも、この町にはバスケットボールがある。いつもそんなことを感じさせてくれるチームだ。
敗戦の中で、開かれる新しい扉
前置きが長くなったが、この試合で東京Zは茨城に77−87で敗戦した。
東京Zは、今シーズンはこの試合までの成績が2勝9敗。コロナの影響で外国籍選手の合流が遅れるなど、様々な理由があるにせよ、決していい結果と言えるものではない。
それでもこのチームに魅力を感じるのはなぜだろうか。
試合中、印象的だったのは、東頭HCの表情だった。
前節の愛媛戦での連敗からそう時間もない中で、この茨城戦にどんな準備をしてきたのか…
また茨城はこの試合まで8勝3敗と東地区の上位を走る。ここで大差で敗れてもなんら不思議はない。そんなことを私は感じていたが、試合前から、どこか清々しい表情の東頭HCに注目した。そして、選手達の表情もどこか引き締まったような印象を受けた。
ナンナ・エグーがファストブレイクから得点し、ゲームがスタート。試合序盤の流れを掴んだのは東京Zだった。
しかし、茨城もトラソリーニなどが加点し、すぐさま追いつくところは「さすが!」と言える展開だった。
1Qは19-17で東京Zがリードする形で終わった。
2Qも大きな流れは東京Zが掴んでいた。特に、坂井が入ってからは、センターラインを坂井が走ることで、1Q開始と同じように、ファストブレイクから加点をするなど、完全にペースは東京Zにあったと感じた。
東頭HCも会見で
「セカンドユニットがすごくいいパフォーマンスをしてくれた。」
と選手達を称えたことが印象的だった。
記録に残るターンオーバーと記憶に残るターンオーバー
結果的に10点差、前半の2Qのオフィシャルタイムアウトに入る時は坂井がファストブレイクでのレイアップを決め、30-30の同点だった。
その後、東京Zはゾーンディフェンスを組み、一気に試合の流れを持って行こうとしたが、そこがうまくはまらなかった。最終的にここがこの試合を分けたポイントになった。
東頭HCも会見でそのなんシーンかをすごく悔やんでいると話ながらも
「前半で11個もターンオーバーをしている。本当なら10点差のゲームではない。」
と語ることが何度かあった。
試合を通しても、ターンオーバーは東京Zは15に対し、茨城は6。
確かに数字だけ見れば、もっと点数差が離れてもおかしくはない。
バスケットボールには4ファクターというオフェンスを評価する指標がある。
その中に「ターンオーバーなどでシュートが打てずにオフェンスが終わる割合(TOV%)」という数字があるのだが、この試合、東京Zはその割合(TOV%)が17.43。一方、茨城は6.91。放ったシュートの本数も東京Zが64本、茨城が72本で8本の差がある。
もちろん結果が全てではあるが、東頭HCがいう通り、この数字の差がありながら、10点差で終わった東京Zのバスケットボールは茨城に対して、驚異だったに違いない。
Game2に向けて、そのターンオーバーを減らすことは東京Zの勝利のために必要になるが、それ以上に東頭HCが会見で語ったのは、そこ以外のターンオーバー、いわゆるチームルールであったり、ゲームプランの遂行、コミュニケーションの方だ。
決して、記録には残らないが、試合を見ていたファン・ブースター、何よりチームの中で記憶に残るターンオーバーとして改善点として取り上げられるだろう。
会見で東頭HCが
「外国籍が合流して、本来やりたい形にシフトした。そういう意味で、オフェンスでのミスは仕方ない部分もあった。ただディフェンスで絶対にやってはいけないミスが何回かあって、そこを決められてしまった。」
と語った。
もちろん、その小さな綻びをしっかりとゴールに結びつけてくる茨城のバスケットボールの質の高さも褒めるべきだ。バスケットボールは常に相手がいるスポーツだからこそ、時に自分たちの想像を超えたシュートを決められることがある。
この試合で3ポイント5oo本を達成した福澤なども含め、まさに茨城はそんなチームだ。
この試合でも、後半に東京Zがいいディフェンスを見せながらも、茨城の小林がシュートを沈めてくるシーンがあった。その時の東頭HCのリアクションも「それ決めちゃうか!」と称えているかのような場面があった。
それでも、東頭HCは
「明日、しっかり改善します!」
と自信をのぞかせた東頭HCの頭の中には、このチームが見据える景色と確かな手応えを感じているようだった。
おそらくファン・ブースターがこのチームが負け続けて、不満や悲しい想いもしているだろう。しかし、どこかこのチームに期待してしまうのは、そんな伸び代をしっかりと感じられるところなのだと思う。
スポーツに「たられば」はないが、自由にそれを語り合いたくなるのがファン・ブースターであったりもする。
このチームにはそんなバスケットボールのベースと、見据える未来に対する確かな地図がしっかりと提示されている。
記録残るターンオーバーも記憶に残るターンオーバーも必ず改善していける。
あとはそのピースをはめていくだけ。改めて、そんな東京Zの魅力と伸び代を感じた瞬間だった。
復帰をまたれるワンピース
ピースをはめていく。
そんな話をすると、もっとも大切なワンピースがこのチームには今、欠けている。
キャプテンの久岡幸太郎だ。
残念ながら、10月28日の青森戦を最後にプレータイムはなく、ベンチから戦況を見守る時間を過ごしている。
キャプテンとして、そしてチームの生え抜き選手として、背番号も14に変え、臨んだシーズンへの想いは間違いなく強いはず。
そんな久岡は今のチームをどう感じているのだろうか。
久岡に話を聞くと
「違う視点で見れていることがたくさんある。チームが悪くなっていく雰囲気の方程式みたいなものが見えてきた。その時に声をかけるだけでも変わることがわかってきて、声のかけ方で変わることを実感できている。」
と答えてくれた。
この試合でも、ポイントポイントで様々な選手に話しかけ、ゲーム中も時には立ち上がり、仲間に声をかけるシーンが印象的だった。
3Qが始まったタイミングで東頭HCに呼ばれ、自チームのディフェンスシーンを見ながら、何かアドバイスを受け、議論を交わすシーンは印象的だった。
東京Zには、現状アシスタントコーチがいない。それがプラスかマイナスか?という議論は置いておいて、昨シーズン、怪我で出場機会がなかった輪島射矢は
「ベンチや練習で様々なことを東頭HCから学んだ。」
と語っていた。
客観的な視点というのは時に選手の視界を一気に広げることがある。輪島自身、今シーズン最初にそのことについて言及していた。
当たり前だが、選手は試合に出たいし、敗戦が続けば、唇をかみしめる事ばかりだ。(久岡にとって茨城には大学の同級生である中村功平がいるからこそ尚更かもしれない)それでも、試合に出ていないからこそ見えるチームの姿は、久岡のポジションがポイントガードだからこそ、尚更プラスになるのではないかと私は感じた。
久岡も
「東頭さんから、あの選手は今こんなメンタリティだよね。だからポイントガードとしてはこう促した方がいいよね。とアドバイスをもらっていて、すごく勉強になっている。復帰した時には今までよりもうまくコントロールできるイメージがある。」
さらに久岡は
「自分がコートに入ったら、こうできるな!と考えて試合を見れている」
と語ってくれた。
この試合を見て、東頭HCの会見を聞き、久岡の話を聞いていると、近いうちに東京Zの逆襲が始まる匂いがした。
東京Zは確実に、敗戦の中でも、新しい扉を開いて行っている。
あとは最後の扉を打ち破るだけだ。
このチームは開幕戦の劇的な勝利のようなストーリーを描くことができる。
だからこそ、11月13日の茨城とのgame2ではなんとかその扉を打ち破って欲しいと願う。
そんな、小さくとも大きな1歩を。
この町にバスケットボールがあることを誇りに思うブースターと共に…
GBNセミナーがJBAのリフレッシュ講習として開催
アースフレンズ東京Zの東頭HCがオフシーズンに開催したGBNセミナーが11月15日JBAのリフレッシュ講習として開催される。
今回もコーチや選手、有識者はもちろん、ファン、ブースターも参加が可能です。
詳細と申し込みは、東頭HCのTwitter、ホームページから受付中
世界ではNBAやヨーロッパの様々なコーチがクリニックを行っているそうです。コロナにより行き来が出来なくなってからも、オンラインにて開催がいるとのこと。
東頭HCは日本と世界の差は「情報の差」と感じ、コロナ渦の状態を逆に生かし、自身のコネクションを使い、世界のコーチを呼んで、GBNセミナーが開催されました。
現在、選手もアメリカだけではなく、オーストラリアやヨーロッパ、韓国のリーグにチャレンジしています。
海外で活躍するコーチもいます。
このように日本にいる私たちが、日本にいながら世界トップクラスのコーチの話を聞ける機会が今後も増えていくためにも、今回のGBNセミナーが大きなきっかけになると思いますし、それらの情報をしっかりと僕らがキャッチすることが大切だと思います。実際に日本に様々なことを伝えたいと話す海外のコーチを他にも多くいると聞くこともあります。
またコーチや選手でなくても、得られる情報からバスケットボールの見え方は間違いなく変化していきます。そういう1人1人の情報の収集が日本のバスケットボールをさらなる高みに連れていくのだと思います。
ぜひ、1人でも多くの方にご参加していただきたいと、エクストラパスとしてもお伝えしたいです。
BASKETBALL DINERにも出演いただいております!!