2020年10月24日25日 船橋アリーナにて、20-21シーズン第5節
千葉ジェッツ VS 名古屋ダイヤモンドドルフィンズが行われた。
今回もExtraPassPodCast準レギュラーであるしんたろうが、スタッツと戦略の面から深く分析していきたいと思う。
勝率7割と同率で、オフシーズンに大きく補強した両チームの今季初対決はどのような駆け引きを見せてくれるのか、期待したい。
GAME1 あらすじ
簡単なスタッツは以下の通り
千葉 | 名古屋 | |
3FG決定率 | 52% | 28% |
2FG決定率 | 50% | 69% |
FT決定率 | 60% | 86% |
eFG% | 62% | 57% |
ORB獲得率 | 31% | 19% |
DRB獲得率 | 81% | 69% |
AST割合 | 31% | 25% |
TOV割合 | 11% | 20% |
ポゼッション | 71 |
ホームで迎え撃つ千葉ジェッツはいつものスイッチDFを封印し、
ヘッジやブリッツから、ノンシューターのエアーズのマークを離し素早いヘルプに入ることでペイントタッチをケア。名古屋は冨樫のみをスイッチで守り、その他の選手はドロップで守る展開。
スイッチ後のコミュニケーションミスを突いて3、ミドルを決めていく千葉と、ヘッジの隙を突いたオープン3が決まらない名古屋。2Q以降PnRリジェクト、ドライブではなくパスで捌く戦略を取ったものの点差が縮まらない。4Qには安藤・バーレル・エアーズを4ファウルでベンチに下げる苦しい時間が続きそのまま終戦。
気になるところはポゼッションの2割がターンオーバーで終わってしまった名古屋のライブターンオーバーの多さ。そこから千葉に20得点も取られてしまっている点は修正材料。
千葉の厳しいヘッジDFを如何に攻略するかが見所でしょう。
GAME2 第1クォーター
自分たちのバスケットを完遂した千葉ジェッツと打開策が見えてきた名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。
スターターは
千葉:富樫 勇樹 シャノン・ショーター 佐藤 卓磨 ギャビン・エドワーズ
セバスチャン・サイズ
名古屋:齋藤 拓実 ジェフ・エアーズ 安藤 周人 ジャスティン・バーレル 狩野 祐介
1Qにおけるショットチャートとセットオフェンス内訳は以下の通り。
■セットフェンス内訳
【千葉】
Horns Away 1回
Chicago系 1回
Flip 1回
Rip-Strong 1回
FlexなどSTS系 2回
PostSplit-STS 1回
Floppy などSwing系 1回
Pistol 1回
その他PnRセット 1回
【名古屋】
Horns Flare 2回
Horns Flip 1回
Punch Split 3回
Veer 1回
Drag 1回
アーリーセット 1回
2High 1回
その他PnRセット 1回
千葉のオフェンスはいつものPnRから逆サイドバックドア→リプレイス→Floppyにつなげるセットで3pt先制。DFはGAME1と同様のハードヘッジDFを展開。
巧みなボールムーブと絞らせない多彩なセットで中外効率よくショットメイク。リング周り6/6, 3ptは3/7と強いジェッツのムーブであった。
対する名古屋は斉藤選手得意のドライブセットで開始するも千葉が6得点する間に2TOVと、この日もペイントに触れないゲームを予感させた。
DFはドロップ+レイトスイッチで、冨樫選手に対しては早めのスイッチで対応。しかしそのスイッチ→トリプルスイッチの流れが悪く、安藤VSギャビンのマッチアップなどを作り出してしまうシーンもみられた。
先に動いたのは名古屋:梶山HC。
張本を3番で投入しサイズのミスマッチを狙いつつ、笹山投入でドライブよりもヘッジによってで空いたロールマンにパスをだす戦略へシフトチェンジ。フリースローをもらいつつ2−3ゾーンも絡めながらなんとか食らいつく
GAME 第2クオーター
2Qにおけるショットチャートとセットオフェンス内訳は以下の通り。
■セットフェンス内訳
【千葉】
Horns Flare 1回
Horns Twist 1回
Horns22 1回
Punch 2回
Invert AI 1回
Drag – StepUp 1回
PostSplit-STS 1回
Floppy などSwing系 1回
Pistol 1回
アーリーオフェンス 1回
その他PnRセット 4回
【名古屋】
Zip – Chase 2回
Drag – Chicago 1回
Backdoor – Chicago 1回
Floppy 1回
Away 1回
アーリーオフェンス 6回
追いつきたい名古屋は1Q途中から下がっていた斉藤をオンコート。
シンプルなアーリーオフェンスやChasePnRなどでペイントへ侵入、キックアウトコーナー3を演出する。2−3ゾーンを継続するなど動きを見せる名古屋ベンチ。
対して千葉は藤永を開始から投入。持ち前のDFでテイクチャージしたところで西村と交代。ゾーン攻略は西村に託される。
大野HCはシャノンショーターとコミュニケーションを取り、ハイポスト→PnRで揺さぶりながらミッドレンジゲームでの攻略を選択。ミッドレンジを見せつつショーターのドライブから西村のキックアウト3を決めたところで梶山HCタイムアウト。2−3ゾーンからマンツーマンへ変更した。
さらにTO後のオフェンスではヘッジDFの弱点であるロールマンへ素早くパスを出すバスケットへ変更。斉藤のフローターや3ptが連続で決まり反撃開始。
対する名古屋はポストアップを起点にアタックし、名古屋のWチームの隙をついて西村が3ptand1を決めるなど躍動。マッチアップする斉藤を3ファウルにしベンチへ下げさせた。代わりにプレイメイカーの笹山・シュート好調の木下を投入しアーリーオフェンス中心にペイントでの2ptを重視した名古屋が2点縮めて後半へ
GAME 第3クオーター
3Qにおけるショットチャートとセットオフェンス内訳は以下の通り。
■セットフェンス内訳
【千葉】
Horns Dive 1回
Horns (Flip)Twist 1回
LA-wipePnR 1回
Drag 1回
Drag Away 1回
Chicago – Away 1回
PostSplit 2回
Rip – AI 1回
Flex 1回
アーリーオフェンス 5回
その他PnRセット 1回
【名古屋】
Weave – STS 1回
Drag – Chicago 1回
Chicago 1回
Hammer 1回
Punch 2回
Drag 1回
Drag – Chicago 1回
アーリーオフェンス 1回
その他PnRセット 6回
スターターに戻した千葉と、スターター+斉藤の代わりに笹山が入った布陣で後半開始。
インサイドアタックと狩野の3ptで先制攻撃した名古屋だが、千葉はその3秒後にギャビンエドワーズへのタッチダウンパスで得点するなど流れを渡さない。
同時にDFの強度が増し、ヘッジから戻るタイミング、ロールマンへのヘルプtoヘルプが洗練され、名古屋から24秒OTを奪うなど徹底してペイントを自由にさせない。
セバスチャンサイズの3pt,冨樫のレイアップと立て続けに千葉のアーリーオフェンスが決まったところで名古屋:梶山HCタイムアウト。斉藤が入りペースアップを狙った名古屋は一時5点差まで縮めるも、重要な局面で3連続ターンオーバーから千葉・ダンカンのインサイドアタックや展開による連続得点で2桁差に戻し最終クオーターへ。
GAME 第4クオーター
3Qにおけるショットチャートとセットオフェンス内訳は以下の通り。
■セットフェンス内訳
【千葉】
Horns Dive 1回
Horns (Flip)Away 1回
LA-wipePnR 1回
Drag 1回
Drag Pindown 1回
Flip – ThrowBack 1回
Rip – Split – STS 2回
Punch 3回
LA – Wipe PnR 1回
Flip – Spain 1回
アーリーオフェンス 1回
その他PnRセット 1回
【名古屋】
Horns 2回
Elevator 1回
Chicago – Backdoor 1回
Horns Flare 2回
Horns Rip 2回
Ram – StS 1回
Drag – Chicago 1回
アーリーオフェンス 1回
その他PnRセット 6回
2桁の点差で始まった最終クオーター。
ここで存在感を発揮したのが西村だった。
ドロップやスイッチ後のマークの受け渡し・ローテーションにミスがみられていた名古屋のDFコミュニケーションをみるや、オープンのダンカン選手へ立て続けにアシスト。3/4というハイアベレージをメイクする。
名古屋もタイムアウト明けからSlipやポストアップでペイントエリアを伺うがペイントタッチを千葉のDFが許さない。
ショットクロックがなくなりターンオーバーやエアーズの3ptで終わるポゼッションが増え、(決定率は2/5と悪くはないものの)点差は詰められず、23点差でゲーム終了。
一度もリードを許さない千葉ジェッツの完勝であった。
最終スタッツ
千葉 | 名古屋 | |
3FG決定率 | 43% | 35% |
2FG決定率 | 61% | 50% |
FT決定率 | 67% | 68% |
eFG% | 63% | 51% |
2pt試投割合 | 51% | 47% |
3pt試投割合 | 40% | 41% |
2pt得点割合 | 48% | 42% |
ペリメタ得点割合 | 19% | 3% |
3pt得点割合 | 41% | 38% |
FT得点割合 | 11% | 21% |
FT獲得率 | 22% | 32% |
PitP割合 | 29% | 39% |
SCP割合 | 12% | 15% |
FBP割合 | 13% | 17% |
PfT割合 | 15% | 19% |
ORB獲得率 | 29% | 31% |
DRB獲得率 | 69% | 71% |
AST割合 | 37% | 25% |
TOV割合 | 11% | 24% |
ポゼッション | 71 |
記者会見
しんたろう質問部分抜粋
【梶山信五HC】
「千葉さんは手強かった。ミーティングで話した事が何も出来なかった自分達の現在地を知ることが出来た。水曜に向けて気を引き締めたい」
Q「スイッチ後のスクラムスイッチやヘルプtoヘルプの動きにミスが見られたがどのように修正するか」
A「新しい外国籍選手とのコミュニケーションがまだうまく行ってない。PnPのところはドロップダウンするのかスイッチするのかも含めて徹底して行きたい」
Q「2QはフローターのPOSが5回、ビッグマンのアタックも多かった。対して3Qはオープン3のシチュエーションが多かった。ゲームプランはどうであったのか」
A「まずショーDFに対して怖がらずにペイントアタックし続けるよう伝えた。今日積極的に意識が出来ていたのは笹山と木下だった。他の選手は消極的だった」
【大野篤史HC】
Q「Game1は名古屋にヘッジを攻略されるシーンも見えたが今日は修正できていたように感じた。どのような指示があった?」
A「まず、ポジショニングが悪くてローテーションが回ってなかったのでそこを指示した。特定のプレイヤーにはヘッジしない。ハードショウやトラップしたときのウィークサイドのポジショニングやボールサイドのポジショニングが変わってくる。そこのミスがかなりあったので修正した」
Q「昨日も含め4クオーター以外のスタートは同じセットで行くのはこだわりか?」
大野HC「どれのことですか?」
しんたろう「左サイドのボールスクリーンから始まって、逆サイドがカットしてビッグマンが上がって、Flop…」
大野HC「そのセットは私のデザインしたものではありません。デザインしたものは私が(ボードに)書くので。 (富樫 )勇樹のこだわりじゃないですか笑? 」
【笹山貴哉】
Q「ボールマンに対するヘッジDFをGAME1で仕掛けられていたが、どのように攻略するつもりだったか?」
A「そういうDFをしてくることは予想ができていたが、我々にはそういった経験がなく東地区上位と戦うということで昨日は少し驚いたというか経験の差がでた。アタックできる選手とできない選手の差がチームにもある。できる選手がアタックしなければならない。自分や (齋藤 )拓実、安藤選手、小林選手などドライブできる選手が状況判断し強調しようと取り組んだ」
【西村文男】
Q「赤穂選手をメイクすることを重視していたように見えたがどうだったか」
A「そのことしか考えていなかった。うまく決まってよかった」
【シャノンショーター】
Q「2Q途中とか 2-3ゾーンのタイミングで大野HCととてもコミュニケーションをとっていたが、何を話していたのか」
A「ディフェンスを変えたときに場合正しいローテーションのインフォメーションをもらった。オフェンスではしっかりボールを回すこと、状況判断することを指示された」
【赤穂雷太】
Q「本来2~3番選手だが4番起用についてどう思うか」
A 「今はけが人が多いので4番だが、正直なところ出られるのであれば本来のポジションで勝負したいが、やはり求められることで結果を出すのがプロなので、早く結果を出していきたい」
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