2020年 10月4日 青山学院記念館にて、20-21シーズン開幕戦
サンロッカーズ渋谷 VS シーホース三河が行われた。
今回は、ExtraPassPodCast準レギュラーであるしんたろうが、スタッツと戦略の面から深く分析していきたいと思う。
今季からコロナウイルス対策として客席の制限が行われた会場はある種、今までと違った開幕戦を思わせた。
GAME1 あらすじ
簡単なスタッツは以下の通り
渋谷 | 三河 | |
3FG決定率 | 29% | 32% |
2FG決定率 | 56% | 58% |
FT決定率 | 80% | 86% |
eFG% | 51% | 54% |
ORB獲得率 | 35% | 26% |
DRB獲得率 | 74% | 65% |
アシスト割合 | 25% | 24% |
TOV割合 | 17% | 16% |
ホーム渋谷は、試合開始から名物のフルコートプレスやハードヘッジDFを駆使しながらボールマンへプレッシャーをかけ、三河のハーフコートオフェンスを防いでいく。エースのガードナーに対してはウィークサイドからダブルチームを仕掛けるなど攻めのディフェンスを貫いていた。
オフェンスでは1Qからワイドオープン3を連続で外すなど、外での攻撃に精彩を欠いた。ムッサ・ダマやチャールズジャクソンのオフェンスリバウンドからセカンドチャンスでつなぐものの、力負けをしてしまった。
対する三河は、外が当たっていない渋谷に対して、ピック&ロールをドロップディフェンスで下がりながらカバーし、さらに3人目がドライブをヘルプするなど、徹底したペイントディフェンスで渋谷を手詰まりにさせていた。
攻めては総得点の23%をフリースローから上げるなど、相手のファールをうまく利用。
ガードナー選手に対するWチームを逆手に取りスペーシングしたシューターにパスを供給するなど三河のバスケットを序盤から展開し接戦を見事勝利した。
GAME2 第1クォーター
お互いのやりたいバスケットをがっぷり4つで見せ合った両軍、
特にDFにおけるチェスゲームが期待される2ゲーム目。
スターターは
渋谷:関野剛平 ベンドラメ礼生 チャールズジャクソン 石井講祐 ライアンケリー
三河:川村卓也 長野誠史 金丸晃輔 シェーファーアヴィ幸樹 ダバンテガードナー
1Qにおける決定率とセットオフェンス内訳は以下の通り。
渋谷 | 三河 | |
3pt | 1/5 (30%) | 0 / 4 (0%) |
2pt | 9/17 (52%) | 10 / 14 (71%) |
FT | 0/1 (10%) | 1/1 (100%) |
■セットフェンス内訳
【渋谷】
Horns系 1回
Chicago系 3回
HO Miami 1回
SpainPnR 2回
FlexなどSTS系 2回
PostSplit 2回
Floppy などSwing系 1回
その他PnRセット 2回
【三河】
FlexなどSTS系 2回
StrongなどAwey系 1回
Hi-Low 3回
その他PnRセット 4回
渋谷は Chicago ,SpainPnR,Twistなどハンドオフ(手渡しパス)やピック&ロールを中心に据えたセットオフェンスやアーリーオフェンスを展開。関野のバスケットカウント含めゴールに近い位置から関野やベンドラメ、ライアンケリーがレイアップで得点。
ディフェンスでは開始から1−2−2ゾーンプレスから、2−3ゾーンを展開するもガードナーとシェーファーのハイロープレイで簡単に攻略されてからはいつものハードヘッジDFに切り替えた。
三河のオフェンスの起点となったのは、この日大活躍の長野誠史。
渋谷のプレスディフェンスに対して、フットレースを仕掛けそのままレイアップ、アウトナンバーを作るポゼッションを展開。
(渋谷の前がかりなDFは高い位置で抜かれるとヘルプが間に合わない弱点がある)
両シューターを生かすFloppyというセットを使いながら中央突破を行う技ありなプレイを見せた。
DFでは昨日同様、ガードの選手がゴール近くまでヘルプする徹底したペイントケア。キックアウト3を受けるも渋谷の3ptが1/5と振るわないため自分たちのDFに専念できていた。
お互いに点を取り合い、21−21で終了
GAME2 第2クォーター
決定率とセットオフェンスの内訳は以下の通り。
渋谷 | 三河 | |
3pt | 4/6 (66%) | 2 / 3 (66%) |
2pt | 6/11 (54%) | 9 / 11 (81%) |
FT | 2/3 (66%) | 0/0 (0%) |
■セットフェンス内訳
【渋谷】
StrongなどAwey系 1回
FlexなどSTS系 5回
Floppy などSwing系 5回
StrongなどAwey系 2回
その他PnRセット 2回
【三河】
Horns系 1回
FlexなどSTS系 2回
StrongなどAwey系 2回
エレベーター 1回
Floppy などSwing系 2回
Slice Post Rip 1回
Overload系 1回
その他PnRセット 2回
渋谷は伊佐HCが動く。
3ptのケアが薄くなる三河のDF戦略を見て、1Qのボールスクリーン中心のセットから、トップで3ptを打たせるAway,Strong,Flex ウィングプレイヤーにショットを打たせるFloppy,(AI気味の)OverUnderなどのSwing系セットを多用したこのクオーター、3pt4/6と高確率で沈めスペーシングの相乗効果でインサイドの確率も上がり理想的な展開で26得点を獲得。
対して三河は、2本連続で3ptを沈められた段階で鈴木HCがタイムアウト。
DFを修正した。三河は同じく長野のドライブ、ガードナーのアタックに対する渋谷のヘルプが間に合わず、インサイドの合わせで確実に得点していく。
2ptFG9/11という驚異的な決定率で流れを渡さない。
2点差で後半へ続く
GAME2 第3クォーター
第3 クオーターの決定率やセットオフェンスの内訳は以下の通り。
渋谷 | 三河 | |
3pt | 2 / 7(28%) | 2 / 5 (40%) |
2pt | 3 / 5 (54%) | 7 / 9 (81%) |
FT | 2 / 4 (50%) | 6 / 11 (54%) |
■セットフェンス内訳
【渋谷】
Horns系 1回
SpainPnR 5回
FlexなどSTS系 2回
Floppy などSwing系 1回
StrongなどAwey系 1回
Fist Miami 1回
(AI/UCLA)Rip 3回
その他PnRセット 2回
【三河】
FlexなどSTS系 2回
StrongなどAwey系 7回
エレベーター 1回
Floppy などSwing系 3回
Post Split 1回
Chicago 1回
AI Pin 1回
その他PnRセット 2回
ゲームが動いたのは3クオーター。
三河のDF強度が明らかに増した。
2Qで3ptが決まっていた渋谷に対して、インサイドに対するヘルプスピード(特にシェーファーアヴィ幸樹)が向上。3pt対策をすると踏んでチャールズジャクソンを中心に組み立てた渋谷に対する見事なカウンターとなる。
攻めては、2Qの渋谷同様Swing系やAwayなどの3ptセットを構築した。
そのスペースを利用して、前半は封印(?)されていたガードナーのローポストからバックダウンを解放。ムッサダマとのミスマッチを狙い3/5決定+FTを獲得。
対する渋谷は、ジャクソンに後ろからRipスクリーンを仕掛け、中で仕事をさせるセットを多く展開したものの前述のヘルプDFに捕まりミスショットやターンオーバーを連発。得意のオフェンスリバウンドも取れず流れを三河に渡してしまった。
10点差で最終クオーターへ突入。
GAME2 第4クォーター
決定率とセットオフェンスの内訳は以下の通り。
渋谷 | 三河 | |
3pt | 2 / 7 (28%) | 2 / 5 (40%) |
2pt | 6 / 12 (50%) | 2 / 4 (50%) |
FT | 8 / 10 (80%) | 8 / 10 (80%) |
■セットフェンス内訳
【渋谷】
Horns系 4回
FlexなどSTS系 2回
Floppy などSwing系 2回
AI系 1回
その他PnRセット 3回
【三河】
Boston 2回
StrongなどAwey系 2回
エレベーター 1回
Floppy などSwing系 1回
その他PnRセット 2回
渋谷は、前半の戦略へシフト。三河も成功している3Qの方針を継続。
早く攻めたい渋谷に対して、トランジションをファールで切ってくる三河。
点差が動いたのはラスト6分。野口のプットバック2から、柏木に対する起死回生のブリッツ。パスコースを読んだ野口がスティールしそのままレイアップ。
連続得点で点差を7点に。
その後も三河は時間をかけながらフリースロー、ガードナーの個人技で1ポゼッションゲームを維持。
渋谷も得意のHornsセットを仕掛け最後の2ポゼッションをライアンケリーに託すも逆転はならずゲーム終了となった。
最終スタッツ
渋谷 | 三河 | |
3FG決定率 | 36% | 35% |
2FG決定率 | 53% | 74% |
FT決定率 | 67% | 68% |
eFG% | 54% | 67% |
2pt試投割合 | 58% | 59% |
3pt試投割合 | 32% | 26% |
2pt得点割合 | 55% | 63% |
ペリメタ得点割合 | 5% | 11% |
3pt得点割合 | 31% | 20% |
FT得点割合 | 14% | 17% |
FT獲得率 | 26% | 40% |
PitP割合 | 51% | 52% |
SCP割合 | 11% | 7% |
FBP割合 | 7% | 11% |
PfT割合 | 18% | 10% |
ORB獲得率 | 31% | 23% |
DRB獲得率 | 77% | 69% |
アシスト割合 | 20% | 22% |
TOV割合 | 17% | 21% |
ポゼッション | 76 |
※各試投割合は、フリースローになったポゼッションも含めて算出
記者会見
【鈴木貴美一HC】
「一進一退のシーソーゲーム、3Qいい形で離せたが油断して自滅から点差を縮められてしまった。渋谷の激しいDFから追いつかれてしまった。
こういう僅差での勝ちは若い選手のいい経験になって次に繋がる勝利だった。」
Q:2Q渋谷が3ptが多かったにも関わらず、3Qドライブに対するDFを強化し成功した。どのような指示をしたか
A:「前半は渋谷のペースであった。後半に向けて、シュートは水物であるのでまずは足を使ってDFしようと指示した。
普段からPnRやHOなどのシチュエーションに合わせたDF練習を7月から毎日のようにやっている。そこが勝負所で出てくれた。」
【伊佐勉HC】
「昨日同様クロスゲームになった。1点でも勝たないと意味がない。
クロスゲームの2連敗は責任を感じている。
4Qに2回TOをとって選手を入れ替えた時には、替った選手が戦略を体現してくれた。これから長いシーズンチーム全体がやるべきことは確認できた。」
Q:1QはPnR系、2QはSwing系セット、3Qはジャクソン選手へのRipなど色々試していたがしっくりきた戦略は?
A:「試合通してペイントアタックを重視した。そこの部分はしっかりアタックできた。インアウトのショットは増えたので修正できていた。3Qのインサイドでは、パスはうまく通ったが彼に疲れが見えミスになってしまった。意図は選手が汲み取っていた。結果的にTOVになったがいいプレイだった。」
Q:失点が多かったがディフェンスに対する手応えは?
A:「対三河なので失点は覚悟していた。しかし、やられ方が良くない時間帯があった。そこはチームで立て直す」
Q:得点した後にトランジションからイージーな失点については?
A:「イージーレイアップが相当あったので、プレッシャーをかけて抜かれた後の4人の連携が必要。特に今日は長野選手に縦に切られたところを全員で守れるように修正する」
【金丸 晃輔】
Q:開幕2試合、自分のプレーの感想
A:「1試合目はフロアバランスを見すぎていた。今年は3ptを多く狙うことを決めていたが、形を意識しすぎていた。2試合目はスタイルを変えて、打てなければドライブに切り替えた。渋谷にはドライブが有効なのでそれをうまく狙えた。」
【ベンドラメ礼生】
Q:昨日と比べて、ドライブの最後の一歩の伸びが違ったように見えたが意識したことは?
A:「昨日はアテンプトも少なく、波に乗れていなかった。プルアップを打ててもドライブをしなければいけないという思いが逆に作用してしまった。今日は積極性を大事にして思い切りの良さが出た。」
【野口大介】
Q:外国籍選手が3人いる中で、昨季平均を上回る13分のPTを得られた要因は?
A:「4Qの5人メンバーチェンジをきっかけにディフェンスが機能し始めた。
その中で上手くハマった。昨日は5分しかなかったので昨日の反省を踏まえて攻めの意識をする、ファールを上手く使って止めるなど反省を生かせていたことがプレイタイムに繋がった」
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