三遠ネオフェニックスは、2020-21シーズン第8節を終えた時点で2勝11敗。B1西地区最下位と苦しんでいる。
今シーズンから選手兼スキルディベロップメントコーチとして三遠に加入した山本柊輔。
山本のYouTube配信のサポートをしている縁で、9節アルバルク東京戦に足を運び話を聞いてきた。
山本にとって、昨シーズン2ヶ月だけだが所属していたアルバルク東京が対戦相手。
所属していたのが、ちょうど1年前とあって感慨深いものもあったようだ。
準備も入念で試合前に「ピックアンドロールに対するA東京のディフェンスについて、アウトサイドの選手と一人ひとり話せた」と語っていた。
*A東京加入直前はカナダリーグに挑戦中。様々な葛藤の中で加入した経緯があり、詳細についてはダブドリでエクストラパスがロングインタビューを担当させてもらったので、是非そちらをご覧いただきたい。
連敗はできないアルバルク東京
11月14日に行われたゲーム1は、A東京が意地を見せた試合となった。
A東京は、1クォーター序盤でリードを奪い、その後何度か三遠に追いつかれながらも1クォーター残り3分から引き離していき、そのまま危なげなく94-76勝利を収めた。
この期間A東京はホームゲーム5連戦となっており、直近の新潟戦と滋賀戦は星を落とし連敗中だった。
負ければホーム3連敗という大事な一戦にかける気持ちがA東京の方が優っていたように感じる。
実際、山本もゲーム1終了後に「アルバルクの方がアグレッシブでした。」とA東京のプレッシャーの強さを語っていた。
この日、山本は出場機会には恵まれなかった。
40分間ベンチから試合を観ていたわけだが、今シーズンはスキルディベロップメントコーチという役割も担っている。
この試合、三遠がピックアンドロールでA東京のディフェンスを割っていくシーンが何度もあった。
試合前に話していた山本のスカウティングや準備の賜物とも言える。
しかし、敗戦という結果で喜びの表情は一切なかった。
「一人ひとり良いところがあるので、ヘッドコーチが求めるものを遂行しつつもそれぞれの良いところを発揮する必要があります」と反省点を交えてこの日を振り返った。
一発みせる選手ではなく繋いでいく選手
翌日11月15日に行われたゲーム2、1クォーターこそ競ったものの、2クォーター以降はA東京が高確率なショットで着実に点差を広げていき、88-65と連勝をおさめた。
1クォーター残り7分23秒。
川嶋勇人が2つ目のファウルをおかし、早くも山本はコートに立つことになる。
山本本来のポジションPGではなくSGとしての出場だったが、シーズン序盤にロスターが揃わない時期にSG起用はあったので大きな戸惑いはなかったようだ。
「ハンドラーがいないので自分が呼ばれました。ペイントまで入っていけなかったのが悔しいところです。短い時間ですけど、しっかり繋いでいってチームに貢献したいと思います。」
1クォーターのみ7分22秒の出場で目立ったスタッツは残していないが、「繋いでいく」選手がいることはチームにとって重要である。
山本自身が試合前に言っていた「いい流れだったらそれを続けて、悪い流れだったらそれを切って自分たちの流れを作っていくのが大事だと思うので、一発みせるというよりかは、チームのオフェンスを回すことだったり、ディフェンスで相手のキーマンを抑えて、結果を積み重ねるようにやっていきたい」という言葉通りのプレーだった。
ここからは言い訳なし
9節をA東京相手に2連敗したことで、三遠は2勝13敗と依然最下位のままではあるが、ポジティブな言葉が聞かれた。
「プレシーズンで揃って練習できなかったので、その分この2週間詰めてやっていくのが大事だと思います」
Bリーグは12月2日まで2週間強の休止期間に入る。言うまでもなく、その期間の次に向けた準備は重要である。
「ここから言い訳なしで、みんな揃って同じくらいのレベルのチームに勝っていき、ジャイアントキリングもできるように頑張っていきます」と力強く言っていた。
三遠のブラニスラフ・ヴィチェンティッチ ヘッドコーチも同様に休止期間について言及していた。「自分も含め(入国が遅れて)ずっとロスターが揃っていない状況なので、この休みを使ってチームをしっかり作っていきます」
今シーズンの三遠は、ヘッドコーチと外国籍選手3人、アジア特別枠が新加入となり、コロナウィルスの入国問題に大きな影響を受けたチームの1つである。
どの選手も合流してすぐに試合というハードスケジュールの中で、しっかりとした練習や準備ができていなかったのは容易に想像できる。
だからこそ、この休止期間で三遠は大きく化けるポテンシャルを間違いなく秘めている。
そのために、選手としてもコーチとしても山本の役割は大きいだろう。
三遠の躍進を期待せずにはいられない。
休止期間を経て、三遠にとって「言い訳できない」本当の戦いが始まる。