その男には、どこか今までとは違う空気感を感じた。
試合で結んでいた髪を切り、再び緑のユニホームを身にまとった。
その男の名前は「牧全」
男らしいワイルドさと優しい笑顔、激しいディフェンスと綺麗なシュートで観客を魅了するシューティングガードがレバンガ北海道に帰ってきた。
9月20日にレバンガ北海道と三遠ネオフェニックスのプレシーズンゲームが行われ、バスケットライブで放映された。全道、全国で多くのレバンガブースターがこの瞬間を待っていたに違いない。無論、私もその1人だ。
北海道は広い上に、レバンガ北海道は全国に多くのブースターがいる。
私が住む関東でも、多くの道産子がいて、道産子以外にもレバンガ北海道を応援する人がいる。
しかし、今シーズンは今までと同じようにレバンガ北海道のゲームを楽しむことが難しい状況だ。コロナによって会場は人数制限がされ、都道府県を跨いでの移動が緩和されても、家庭の事情や職業により、移動や大人数との接触を自主的に制限する人も多いだろう。
そんな中、やはり限られた環境の中で、今回のバスケットライブの配信は大きな価値があったように思う。
レバンガ北海道は、昨シーズン、1人のレジェンドがユニフォームを脱いだ。
それは、北海道にとってあまりにも特別すぎる存在だったことは言うまでもない。
レバンガ北海道のホームアリーナであり、北海道バスケの聖地でもあるきたえ〜るで
「北海道ありがとう」
そう、言葉を残し、日本を代表するバスケットボールプレイヤー達に囲まれながら、レジェンドは何度も宙を舞った。
そして、今シーズン。
「北海道でやり残したことがあります。」
牧全は北海道復帰のタイミングで、そうコメントした。
彼もまた、レバンガ北海道に所属するまでは、北海道に縁もゆかりもない。
それでも、いろんなところで、北海道が大好きだと公言をしている。
9月20日の三遠ネオフェニックス戦
試合序盤に若手選手がまだフィットしきれてない印象を受ける中、レバンガ北海道の流れを繋いだのはベンチから出てきた牧全だった。
これまでの北海道在籍時は、期待をされながら、多くの時間を怪我に苦しんだ。
気づけば中堅になり、クラブからは様々な役割も求められることだろう。
そんな中、牧全はそのハードワークを武器に、三遠の日本人エースである西川貴之にマッチアップし、ルーズボールに果敢に飛び込んだ。
どこか今までの彼とは違う「覚悟」のようなものを、私は感じた。
そのプレーを見たとき、
「やっぱりレバンガ北海道に牧全は必要だったんだ」
そう感じている自分がいた。
今シーズン、レバンガ北海道には若い選手が増え、バスケットボール、スポーツを取り巻く環境も大きく変わった。
誰よりも北海道、クラブを愛したリーグを代表するレジェンド…どんな時もファンのことを想い続け、仲間にパスを送り続けたエンターティナーがコートを去った。
それでも、私は
「レバンガ北海道には牧全がいる。」
そう、声を大にして伝えたい。
そして、そんな彼の「覚悟」を後押しできる声援を送りたい。
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