東京エクセレンスの挑戦 ~2人が交わした無言の約束~

東京エクセレンスの挑戦 ~2人が交わした無言の約束~

今バスケットボールに出来ること
東京エクセレンスの挑戦

現在No.5まで配信されている東京エクセレンスの密着ドキュメンタリーをBASKETBALL DINERで製作している。

No.1 Prelude

後2回の配信を予定しており、これを見ていただくことによって、東京エクセレンスというクラブやそこで戦う選手達、さらには普段は見ることのできないスタッフの奮闘など、様々な人間模様を知ることで、年明けから始まるB3リーグの開幕、東京エクセレンスの新シーズンをより楽しいものにすることができれば…と思っている。

私がこの密着ドキュメンタリーの撮影に初めて出向いたのが、まだまだ夏真っ盛りの8月のことだった。

そこにあった見えない線とそれを超える一体感

試合終了のブザーは、トーナメントの終わりを告げる後でもあった。

12月16日墨田区総合体育館
サンロッカーズ渋谷vs東京エクセレンス

私はこの試合を観戦するために現地に足を運んだ。

密着ドキュメンタリーの撮影はすでに終えていて、久しぶりの東京エクセレンスに心を躍らせていた。

東京に住んで約15年…

NBDL時代からよく東京エクセレンスの試合には足を運んでいた。

以前も書いたが、当時も今も…私が憧れたプレイヤーがそこにいる。
1人は未だ現役選手として、そしてもう1人はヘッドコーチとして、このクラブの象徴的存在と言える。

宮田諭と石田剛規だ。

詳しいことは、以前のコラムを読んでもらいたい。

私は巡り合わせや縁というものを大切にしたいと考えている。

まさか昔から観戦に行っていた、憧れの2人がいるクラブの密着ドキュメンタリーを作らせてもらうなど、当時の自分は想像もしていなかった。

試合は3Qまでアップセットを予感させた。

会場の誰もがそのワンプレー、ワンプレーを食いつくように…つい出てしまいそうな声を押し殺しながら、感情を爆発させていた。

試合終盤、サンロッカーズ渋谷は初めて外国籍を2枚同時にコートに立たせた。

自力の差だろうか…

じわじわと点差が離れていき…ここまで離されても、何度もその差を詰めてきた東京エクセレンスも最後はその点差を詰めることはできなかった。

しかし、その試合はB1とB3というカテゴリーの差がそこまで大きくないこと。もっというならば、東京エクセレンスというクラブの魅力や強さを証明するには十分だったように感じた。

そして、改めて、そこには見えない線があるのだということに気付かされた。

私自身、つい先日まで近くからその姿を撮影していたとは思えないような、選手達の集中力や気迫のこもったプレーに…

超えてはいけない線、決して超えられない線がそこには確かに存在した。

けれど、そのバスケットボールを通じて間違いなく会場、チームとブースターは1つになっていた。

東京エクセレンスのプレーが、僕らブースターの心を動かした試合だった。

2人が交わした無言の約束

相手は格上のB1
よくやった。
そんな空気が会場にも流れていたと思う。

けれど、あるワンシーンを見たときに私はまだ見ぬ未来を感じた。

田口暖と小倉渓がコート中央で静かにお互いを称えたシーンが私のカメラに収まった。

この試合、彼らは躍動した。

もちろんサンロッカーズ渋谷の激しいプレッシャーにミスをすることも、弾き飛ばされることもあった。

けれど、彼らは立ち向かい続け、ゴールまでの道をこじ開けた。

東京エクセレンスにおいて、まだ若手と言われる彼らも、リーグを見渡していけば、中堅の年齢に差し掛かる。

今は多くのベテラン、中堅が支えるクラブもいつかは世代交代が必要になる時が来る。

そんな彼らが見据えてた先は間違いなく、サンロッカーズ渋谷がいるB1という舞台なのだろう。

ある種の手応えとまだ足りない何かを感じながら。

彼らは静かにその悔しさを押し殺した。

今年の東京エクセレンスはB3での戦いになる。

レギュレーションで来季B2に昇格することはできない。

最短でB1に駆け上がったとしても、3年の月日が必要になる。

田口暖と小倉渓

彼らが見据えた先には、間違いなくB1という舞台がある。

このシーンを見た時、私もいつかこのクラブで、この2人が日本のトップカテゴリーで躍動する姿を見たいと感じていた。

きっと彼らなら、そんな景色までこのクラブを連れて行ってくれるだろう。

コートの真ん中で、静かに交わした2人の無言の約束は…

どこかの未来で…

この道に続いていたのだと思える時がきっとくるのだろう。

そんな日を私は楽しみにしている。

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