宮本將廣のExtraColumn007「憧れ」

宮本將廣のExtraColumn007「憧れ」

2004年

僕は月刊バスケットボールをめくりながら、憧れの選手達の記事を読んでいた。

当時はまだプロリーグもなく、(2005年にbjリーグが創設)僕らの世代のバスケの話題といえば、ウィンターカップとインカレがその中心だった。

2002年

僕は高校に入学した。バスケットボール部がない学校に進学した。中学時代の苦い記憶が、僕からバスケットボールを遠ざけた。

しかし、始まったバスケットボールがない生活は、色が抜け落ちたモノクロのような世界で、イメージしていた高校生活とは真逆なものだった。

親は、僕のことを心配し、バスケットボールをする環境を探してくれた。そして、ミニバス時代の保護者が作ったOJINZというクラブを紹介された。

おじさんばかりのチームだったが、それぞれにバスケを楽しみ、経験のある先輩方からバスケの駆け引きを学び、時に人として大切なことを指導してもらい、試合をすれば、中心選手として果敢に得点を取りに行った。

僕のバスケ人生で、得点を取りにいくなんて初めての経験で、バスケットボールの楽しさを改めて知ったのはこの時期だった。

その後、高校で出会ったメンバーでクラブチームを作り、結局、週3、4はバスケットボールをする日々を送った。

話は2004年に戻る。

この年、インカレを優勝したのは慶應大学だった。その中心にいた4年生トリオが、志村雄彦さん(仙台89ers社長)、石田剛規さん(東京エクセレンスHC)、辻内伸也さんだった。

志村雄彦さんは仙台高校でウィンターカップ優勝を果たした。160センチという身長は、当時、中学生で同じ身長だった僕にとって憧れないわけがなかった。

志村雄彦さんを追いかけて、大学は慶應大学に注目していた。そこには石田剛規さん、辻内伸也さん、その後、下級生には竹内公輔選手(宇都宮ブレックス)が所属していた。結果、そこから僕は石田剛規さんのファンになることになる。理由は単純に全てがプレーもその姿も、その全てが僕にはカッコ良く映った。

石田剛規さんは卒業後、トヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)に入団。2009年に現役を引退し、2010年にクラブチームエクセレンスへ。そこから当時bjリーグの千葉ジェッツなどを経て、2013年オフにクラブチームエクセレンスがプロ化し、当時のNBDLに所属した東京エクセレンスに加入した。

石田剛規さんはトヨタ自動車アルバルク時代は怪我でプレーすることは多くなかった。それでも、折茂武彦さん(レバンガ北海道社長)や桜井良太選手(レバンガ北海道)がいたトヨタ自動車のバスケットボールに僕は魅了されたのは当たり前だった。そして、その中で、僕の目に飛び込んできたのは、トヨタ自動車でバックアップガードを務めていた宮田諭選手だった。

僕は中学時代、バックアップガードとして悩みに悩んだ。全国大会に行くにはスタメンの5人では勝てない。そう言われながら、僕のポジションであるPGだけがバックアップが不在だった。その理由はPGの2番手だった僕の実力不足に他ならない。

そんな僕の劣等感に、超一流選手達の中で、パスを供給し、ゲームメイクをする宮田諭選手のプレーは衝撃的であり、痛快だった。

宮田諭選手もトヨタ自動車を退団後、立ち上げに関わったクラブチームエクセレンスに戻り、選手兼アシスタントコーチを務めた。現在は東京エクセレンスの選手兼GMを務めている。

NBDL時代、僕はよく東京エクセレンスの試合を観戦に行った。

理由は簡単だ。

「憧れ」だった2人の選手が東京エクセレンスにいたからだ。

恥ずかしいが、石田剛規選手が登壇したイベントにも参加したことがある。笑

9/25に日本バスケ情報を担当させてもらっている「BASKETBALL DINER」にて、石田剛規さんをゲストにお招きし、東京エクセレンスを潜入取材させていただき、ドキュメンタリーを全8話(予定)配信させていただくことを発表させてもらった。

僕にとって、「憧れ」である宮田諭選手兼GMと石田剛規HCが所属する東京エクセレンス。

正直、プレッシャーが尋常ではない。

しかし、この時代に新しいことに挑戦し、ファン、ブースターに、そして、まだ東京エクセレンスを知らないバスケットボールファンに、このクラブの魅力をお伝えできること、クラブが前進をするための、1つのきっかけになれることに感謝の気持ちでいっぱいだ。

そして、1度はバスケットボールを諦めたあの頃の自分が、今こうやって、「憧れ」の選手と同じ瞬間を過ごせている。

それはこれからバスケットボールに関わっていきたいと考える多くの子供達や学生達の1つのあり方としても、何か伝えることができるのかもしれない。

そんなバスケットボールの様々な魅力、そして東京エクセレンスというクラブの魅力を多くの人に伝えていきたい。

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